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極めて簡単な標章(商標法第3条第1項第5号) -商標登録ドットコム™

極めて簡単で、かつ、ありふれた標章(商標法第3条第1項第5号)

商標法第3条第1項第5号

極めて簡単で、かつ、ありふれた標章は、登録されません。

「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第20版〕」では、
「五号は、極めて簡単でありふれた標章、例えば、単なる直線や円、または球や直方体などのありふれた立体的形状のみからなる商標である。」
と解説されています。

商標審査基準抜粋

第3条第1項第5号(極めて簡単で、かつ、ありふれた標章)(PDF)

1.「極めて簡単」について

「極めて簡単」な標章とは、その構成が極めて簡単なものをいう。

2.「ありふれた」について

「ありふれた」標章とは、当該標章が一般的に使用されているものをいう。一般的に使用されていると認められるためには、必ずしも特定の商品又は役務を取り扱う分野において使用されていることを要しない。

(「ありふれた」に該当する例)
① 商品の品番、型番、種別、型式、規格等又は役務の種別、等級等を表した記号又は符号(以下「商品又は役務の記号又は符号」という。)として、一般的に使用されるもの
② 輪郭として、一般的に使用されるもの

3.「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」について

(1) 「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当するものとは、例えば、次のものをいう。

(ア) 数字について
数字は、原則として、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当する。

(イ) ローマ字について
① ローマ字の1字又は2字からなるもの
② ローマ字の2字を「-」で連結したもの
③ ローマ字の1字又は2字に「Co.」、「Ltd.」又は「K.K.」を付したもの。
ただし、「Co.」、「Ltd.」又は「K.K.」が、それぞれ「Company」、「Limited」又は「株式会社」を意味するものと認められる場合に限る。

(ウ) 仮名文字について
① 仮名文字(変体仮名を含む。)1字
② 仮名文字のうち、ローマ字の1字の音を表示したものと認識されるもの
③ 仮名文字のうち、ローマ字の2字の音を表示したものと認識されるもののうち、そのローマ字が商品又は役務の記号又は符号として一般的に使用されるもの
④ 仮名文字のうち、1桁又は2桁の数字から生ずる音を表示したものと認識されるもの
(例) 「トウエルブ」、「じゅうに」
⑤ 仮名文字のうち、3桁の数字から通常生ずる音を表示したものと認識されるもの
(例) ファイブハンドレッドアンドテン

(エ) ローマ字又は数字から生ずる音を併記したものについて
① ローマ字の1字に、その音を仮名文字で併記したもの
② 1桁又は2桁の数字に、それから生ずる音を併記したもの

(オ) ローマ字と数字を組み合わせたものについて
① ローマ字の1字又は2字の次に数字を組み合わせたもの
(例) A2、AB2
② 数字の次にローマ字の1字又は2字を組み合わせたもの
(例) 2A
③ ①の次に更にローマ字を組み合わせたもの及び②の次に更に数字を組み合わせたものであり、かつ、ローマ字が2字以下により構成されるもの。
(例) A2B、2A5
ただし、③については、その組み合わせ方が、指定商品又は指定役務を取扱う業界において商品又は役務の記号又は符号として一般的に使用されるものに限る。

(カ) 図形について
1本の直線、波線、輪郭として一般的に用いられる△、□、○、◇、 、 、盾等の図形

(キ) 立体的形状について
球、立方体、直方体、円柱、三角柱等の立体的形状

(ク) 簡単な輪郭内に記したものについて
簡単な輪郭内に、(ア)から(オ)までに該当するものを記したものは、原則として、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当すると判断する。

(2) 「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当しないものとは、例えば、次のようなものをいう。
(ア) ローマ字の2字を「&」で連結したもの
(イ) ローマ字の2字を、例えば、
のように、モノグラムで表示したもの
(ウ) 仮名文字のうち、ローマ字の2字の音を表示したものと認識されるものは、原則として、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当しないと判断する。
(エ) 仮名文字のうち、3桁の数字から生ずる音を表示したものと認識されるが、通常生ずる音とは認められないもの
(例) ファイブテン
(オ) 特殊な態様で表されたもの

4.音商標について

単音やこれに準ずる極めて短い音については、原則として、本号に該当すると判断する。

拒絶理由通知(3条1項5号)への対応方法

(1)ありふれていないことを証明する。

(2)ありふれた図形・ローマ字・数字が含まれていても、それ以外の要素が商標に含まれていることを説明する。

(3)使用実績により自己の商標として認知されているため、使用による識別性(商標法第3条第2項)があるとの主張をする。

商標法第3条第2項

使用による特別顕著性(登録できないものの例外)

使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるときは、例外として登録が認められます。

なお、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断されます。
また、出願人以外(団体商標の商標登録出願の場合は「出願人又はその構成員以外」)の者による使用の有無及びその使用の状況も考慮されます。

具体的には、商標の使用状況に関する事実を量的に把握し、それによってその商標の需要者の認識の程度を推定し、その大小ないし高低等により識別力の有無が判断されます。

A 実際に使用している商標並びに商品又は役務
B 使用開始時期、使用期間、使用地域
C 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、 売上高等)
D 広告宣伝の方法、回数及び内容
E 一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容
F 需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果

審決例

「卍」の図形は、功徳円満を意味するものとして、またわが国では寺院を表す標識・地図記号として使用され、極めて簡単でかつありふれた標章のみからなる商標であるとされた事例H11-15145

「01」、「ゼロワン」は極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であるとされた事例H10-772

青色の横長楕円形の商標は、きわめて簡単かつありふれた輪郭に用いられる図形を表示したものとされた事例S47-4042

「エイティーン」の文字は極めて簡単で、かつ、ありふれたものであるとされた事例S45-2381

「オーオー」の文字は容易に「O」のローマ字二つを直感させ、同業者の商品とその出所を区別する標識となり得ないとされた事例S40-4211

「NS式スリッター」の文字は、「NS」については商品の種別、型式又は性能表示の記号として普通に使用されており、「NS式」の文字自体は、その指定商品との関係において、自他商品の識別力を有するものとは認められないとされた事例S40-1382

商標上段の「SR」及び下段の「エスアール」は、商品の符号・記号としてのローマ字二字にその字音を単に振り仮名したものとしてしか取引者・需要者に認識されるに過ぎないとされた事例S39-4830

「バター200」の文字は極めて簡単で、かつ、ありふれたものであるとされた事例S38-4121

「サークライン」の文字は、環状蛍光燈を直感させるとか、環状蛍光燈の形状を暗示しているとはいえ、一見して直ちにその形状を表示したに過ぎないと認めることもできないから、本件商標が特別顕著性を欠くとはいえないとされた事例S38-55

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