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APPLE社の商標の国際登録

国際登録番号 1042026

見たところ明らかに、iPhoneの形状をアイコン図形としたものです。

商標の国際登録とは、本国(この場合は米国)での商標登録に基づき、条約(マドリッド・プロトコル)加盟国を1つ以上指定して、国際事務局に登録をするものです。
指定した各国において、それぞれの国で商標登録をしたことと同じ効力が得られます。

今回の指定国は、
AU (Australia), CH (Switzerland), CN (China), EM (European Community), JP (Japan), KR
(Republic of Korea), RU (Russian Federation), SG (Singapore), TR (Turkey)
オーストラリア、スイス、中国、欧州共同体、日本、韓国、ロシア、シンガポール、トルコです。

なお、国際登録は2010年5月21日にされていますが、指定国各国において審査で登録を認めない位等の手続きがある場合があり、今回は、日本での拒絶査定がされていました。
しかし、これに対し不服審判を請求した結果、日本でも2011年11月16日に、拒絶査定を取り消して登録する審決が確定しました。
このたび晴れて日本でも商標登録が認められ、商標公報の発行となった次第です。

指定商品は、第9類の、移動電話機及び部品・附属品、オーディオ・ビデオその他の送受信機などが含まれています。

アイコン状の図形を使用するときには、注意しなければならない商標だと思います。

なお日本以外でも、拒絶されて争う等、審査の経過情報が国際事務局(WIPO)のウェブサイトの検索で確認することができます。
International Registration Details [PDF]

海外の商標・知的財産の模倣問題

先日、たまたま国会中継を見ていたら、中国の商標盗用・模倣の問題、地域ブランド振興の問題がとりあげられていました。

各地域で地域ブランドを振興する取り組みが行われていること、地域ブランド産品について輸出を含めた振興支援策がよりいっそう必要であること、これらに関連する商標を不正に海外で登録されてしまうことへの対策強化の必要性、そしてこれらの取り組みにあたって弁理士の専門的知見を活用すべきことが、かなり長い時間、質問されていました。
弁理士について国会でこれだけ長時間にわたり質疑が行われるのは、珍しいことと思いました。

ただし、大変貴重な意見をいただきました、といった答弁には、今さらのような感じを受けたことも正直なところです。
小泉政権下で知的財産保護強化の取り組みがなされ、知的財産戦略本部が設けられ、近年、これまでにない知的財産保護の施策が行われてきたことは事実です。
海外の模倣品対策、商標の不正登録問題についての対応も、とうに実行の段階になっているはずですが、中国その他のアジア等の地域において特に、日本の商標が不正に登録されたり、著作権侵害が起きたりしている問題は、以前から頻繁に起きてきたことで、いつまでたっても後を絶ちません。

こうした問題に対し、弁理士個人ができることは限られたものです。
弁理士は、社会貢献活動に参加することもあるとはいえ、ボランティアではなく、顧客からの依頼により業務を行うものですが、一事業者の予算、人員だけでは、模倣対策の取り組みにも限界があります。

地域ブランド、地域の商標の問題については、必ずしも全国的には有名でなくとも、その地域では知られているブランドもあります。
したがって、地域の名称保護については、少なくとも都道府県レベルに大幅な権限と予算を与え、中国・アジアなどでの不正登録の監視と、権利を無効にする手続等の支援、正当な権利者による権利取得の取り組みの支援などが行われるべきでしょう。
弁理士は、都道府県レベルでの取り組みに参加するようにすればよいでしょう。

国家レベルでは、外交努力の問題になるかと思います。
たとえば中国に限らず、民間の一個人、一企業が、不正に商標を登録しようとすることは、必ず起きる問題だと思います。
しかし、これを登録してしまうのか否か、また裁判での問題となったときに、国益のみを優先し不当な判決が下されてしまうのか否か、こうした場合に、国際舞台での外交努力が適切に行われれば、自体の悪化を防ぐことができるはずなのです。

たとえば、最低限の保護レベルとしても、中国も知的財産保護のためのパリ条約、WTOのTRIPS協定にも加わっており、商標や地理的表示の国際的保護の条約は、現状でも守らなければいけないことになっているのです。

たとえば、パリ条約6条の2
第6条の2 周知商標の保護
「(1) 同盟国は,1の商標が,他の1の商標でこの条約の利益を受ける者の商標としてかつ同一若しくは類似の商品について使用されているものとしてその同盟国において広く認識されているとその権限のある当局が認めるものの複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣若しくは翻訳である場合には,その同盟国の法令が許すときは職権をもつて,又は利害関係人の請求により,当該1の商標の登録を拒絶し又は無効とし,及びその使用を禁止することを約束する。1の商標の要部が,そのような広く認識されている他の1の商標の複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣である場合も,同様とする。」

TRIPS協定第22条
「第22条 地理的表示の保護
(1) この協定の適用上,「地理的表示」とは,ある商品に関し,その確立した品質,社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において,当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう。
(2) 地理的表示に関して,加盟国は,利害関係を有する者に対し次の行為を防止するための法的手段を確保する。
(a) 商品の特定又は提示において,当該商品の地理的原産地について公衆を誤認させるような方法で,当該商品が真正の原産地以外の地理的区域を原産地とするものであることを表示し又は示唆する手段の使用
(b) 1967年のパリ条約第10条の2に規定する不正競争行為を構成する使用
(3) 加盟国は,職権により(国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより,地理的表示を含むか又は地理的表示から構成される商標の登録であって,当該地理的表示に係る領域を原産地としない商品についてのものを拒絶し又は無効とする。ただし,当該加盟国において当該商品に係る商標中に当該地理的表示を使用することが,真正の原産地について公衆を誤認させるような場合に限る。」

条約に違反する事案に対しては、条約の遵守を求める外交努力が行われてしかるべきと思います。


Q&Aサイトは誤りだらけ

Q&Aサイトが誤った回答だらけです。
Q&Aサイトとは、不特定多数のユーザーから質問を受け付け、それに対する回答を他のユーザーから受け付けるというウェブサイトです。

間違いの回答に満足して、それにしたがって行動したりして問題が生じても、Q&Aサイト運営者も、回答者も、決して責任をとってはくれません。

問題は、上記のような誤りによって、ユーザーが不利益をこうむる可能性が高いにもかかわらず、回答が締め切られてしまうと、誤りを指摘できないことです。
誤った回答がされてしまい、それに質問者が満足してしまうと、回答が締め切られてしまい、間違ったQ&Aがウェブサイト上に残ってしまうということになっています。これが閲覧されれば、誤った知識がさらに広まってしまい、まずます悪循環になっています。
質問者に知識がないと、一見正しそうに見える誤回答に対し、「満足」などとしてしまい、回答者に対し特典を与えてしまい、悪循環が広まるという憂慮すべき事態になっているのです。

何らかの対応や検討をしなければならない質問に関しては、無料相談等もありますので、かならず弁理士または弁護士に相談をするべきです。

「オバマバーガー」「オバマハンバーグ」

「あのオバマさんもはじめた」、「あのコイズミさんが・・・」といって、さる方々のことを連想すると、ごく普通の小浜さんや小泉さんが登場するCMを見て笑った人も多いでしょう。
名前を聞いて、連想し、笑ってしまい、記憶にとどまる。
ネーミングは、何も面白おかしくしたり、短期的な話題やブームにのったりすることばかりがいいとは限りませんが、一つの手法としてあります。

このようなネーミング手法を使った展開をしている商品がきっと世の中にはあるだろう、と筆者が思いつく頃には、既に色々出ています。
たとえば、「オバマバーガー」、「オバマハンバーグ」。
オバマハンバーグ 新発売!!
さすがに、きちんと商標登録出願をしています。

1. 商願2008-014085 オバマ\OBAMA∞ハンバーグ\HAMBURG
2. 商願2008-014086 マルカイ\オバマ\OBAMA∞ハンバーグ\HAMBURG
3. 商願2008-014087 オバマ\OBAMA∞ハンバーガー\HAMBURGER
4. 商願2008-014088 マルカイ\オバマ\OBAMA∞ハンバーガー\HAMBURGER
5. 商願2008-014894 マルカイ\オバマ\OBAMA∞バーガー\BURGER
6. 商願2008-014895 オバマ\OBAMA∞バーガー\BURGER

「著名人の名前に便乗した商品名で、商標登録ができるのか?」と思われた方は、このネーミング戦略の罠?魔法?に既にかかっているかもしれません。
冒頭の文章に戻ってみてください。誰も「Barack Obama Burger」とも「小浜バーガー」ともいっていないのです。
しかし、現在、「オバマ」といえばアメリカ民主党大統領最有力候補である、バラク・オバマ((Barack Hussein Obama, Jr.)氏を連想してしまいます。

商標登録は、拒絶理由が多数あります。
たとえば「バラク・オバマバーガー」であれば、他人の氏名を含む商標であるとして、商標登録は拒絶される可能性が高いでしょう。
あるいは、「小浜バーガー」であれば、「地名(産地・販売地)+普通名称(または慣用名称)」であるとして、商標登録は拒絶される可能性が高いでしょう。
ところが、「オバマバーガー」であれば、人名であるとも地名であるとも特定できません。出願人である会社の名称にも「小浜」が入っていますから、出願人を示す固有名詞であるともいえるでしょう。
仮に、「地名(産地・販売地)+普通名称(または慣用名称)」であると特許庁の審査で言われた場合には、デザインされたロゴマークであると反論することもできます。

商標登録出願は、同じ商標がなければ登録できるものではなく、類似商標がないからといってもまだ安心できず、数々の拒絶理由をクリアしたものだけが登録を認められます。このあたりの判断に、弁理士の専門知識や経験・実績を生かすことができます。

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※この記事の記載にあたっては、登録できるかどうかは特許庁の審査次第ですが、類似商標調査をいたしました。
※この記事中の商標は、特許庁データベースで誰もが閲覧できる公開情報ではありますが、念のため承諾をとることとしています。

星野ジャパンの商標登録は問題あることなのか?

少し前の話題になるが「星野ジャパン」の商標登録出願がされているという記事を見ました。
真相は、星野ジャパンの星野監督の名義で、知人が出願をしたが、本人が知らなかったことや批判的な記事等があったことで、出願を取り下げたということでした。

この記事をとりあげた週刊誌やブログでの話題といえば、星野監督個人で商標登録してしまうのはけしからん、言葉を独占して利益でも得るつもりなのか?といったものでした。
しかし個人名義で商標登録することは普通のことですし、商標登録制度というものを考えればごく当たり前の行為であり、本人の知らないところで出願されるということは問題であったものの、余計な誤解しか生まない記事やブログの論調でした。
そこで、オリンピックが開催されている現在、このことについて書いておきたいと思います。
なお、筆者は、どのような目的や経緯で商標が出願されたのか、といった個別事情には詳しくありませんので、あくまでも一般的なこととして記します。

さて、第一に、商標登録制度の目的は、商標に独占権を付与することによって、第三者が不正・不当に商標を使用することを防ぐことです。そうだとすれば、「星野ジャパン」を商標登録することはむしろ当然のことといえるでしょう。これほど著名な言葉ともなれば、不正競争防止法などにより、不正な使用を何らかの方法で防ぐことができる可能性はあるとしても、対策方法はとても困難をきわめます。

次に、第二には、商標登録をすることによって、第三者が商標登録してしまうことを防ぐことです。
著名な商標であれば第三者が不正に登録することを特許庁は審査で防いでくれますが、審査の結果次第となることですので、先に正当権利者が商標登録出願をしておくことが望ましいということになります。

さらに、第三には、商標登録の権利主体となれるのは、(1)個人、または(2)法人となります。
法人格のない団体が、出願人・権利者の名義人となることはできません。
たとえば、「なでしこじゃぱん/NADESHIKO JAPAN」という商標は、財団法人日本サッカー協会が登録しています。これは財団法人という法人格がある団体だから、団体名義での登録ができるのです。
プロ野球球団などの法人格のある団体であればよいのですが、そうでない団体の場合には、通常は代表者など、個人の名義で登録することが当たり前です。
たとえば、ボランティア団体、法人格のない業界団体などの出願を扱うことがありますが、代表者などの個人で登録をするほかありません。
しかも、「星野ジャパン」という商標は、商標中に「星野」という著名人の氏が含まれており、他の個人名義で出願した場合に、登録を拒絶される理由にもなりかねません。

したがって、第三者の不正使用・不正登録を防ぐためには、星野監督個人の名義で出願しておくという結論になるのは当たり前のことなのです。

「なでしこじゃぱん」は登録商標

「なでしこじゃぱん」は登録商標です。
・・・なんて書くと、それではこの言葉は使えないのか、と心配する方もでききますが、それは杞憂です。あくまでも「商標」とはある特定の商標登録した業務(商品名、サービス名称、ブランド名など)について使用する場合にのみ独占できるものだからです。一般人が会話で使ったり、報道で「なでしこじゃぱん」について言及したりすることに問題はありません。

たとえば、「スポーツの興行の企画・運営又は開催」について登録していれば、この業務については商標権者がその名称の使用を独占します。スポーツウェアについて登録すれば、その商品名などについて独占するものです。

商標登録第4845345号
登録日:平成17年(2005)3月11日
出願番号:商願2004-62898
出願日:平成16年(2004)7月7日
権利者:財団法人日本サッカー協会

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登録した業務(「商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務」といいます)はやや広めです。お役所言葉なのでわかりにくいですが。

第16類:
紙製のぼり,紙製旗,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て、その他

第25類:
被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴、その他

第32類:
ビール,清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース、その他

第41類:
当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行場の座席の手配、その他

ちなみに、「なでしこリーグ」も登録されています。

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音響商標におい商標

音・においを商標に、特許庁検討 2010年の法改正目指す(日本経済新聞)

特許庁が、音やにおい、動きなど新しいタイプの商標を導入する検討に入るという報道がありました。音響商標、におい商標などといわれるもので、これらを制度として導入している国もあります。
商標とは、ネーミングやマークなどの、商品名やサービス名称など業務について使用することに関し独占をするものです。

そうすると、音響やにおいが、業務について、それを表示するものとして使用される場合とはどういうことが考えられるでしょうか。
特許庁、音やにおいを商標登録できるように法改正へという記事もありました。

ある特定の業務について、文字(ネーミング)で示される場合・・・これはわかります。ルイ・ヴィトン、シャネル、クロネコヤマト、SONYなど、いずれもそうです。
音響が何かの業務を示すものとしては・・・たとえばCMの音楽のフレーズや
セリフの言葉、「It's a SONY」とか、ラジオ局のJ-WAVEのジングルなどでしょうか?
においが何かの業務を示すものとしては・・・思いつくのが難しいのですが、たとえば香水のにおい、香料のにおい?
臭い商標については世界でもまだ前例が少なく、これを保護対象として認めているアメリカ、オーストラリア、イギリスなどでも登録例は少なく、アメリカでさえ1990年に初めて登録されてからまだ数件しか許可されていない状況だとのこと。

本当にこれらの登録を認める必要があるのかどうか、という問題もありますが、弁理士にとって気になるのは、どういう音響なら登録できるようになるのか、どういうにおいなら登録できるようになるのか?
従来は紙ベース(オンライン手続を含む)でおこなっていた手続をどうするのか。
類似商標を事前に調査することが重要であるが、これらはどうやってやるのか。
・・・といったところです。

「ひつまぶし」の商標登録?

「ひつまぶし」の商標登録についての話題があったので、商標調査をしてみました。
というのも、「ひつまぶし」がある飲食店の登録商標だというのだが、そんなことはないだろうと思ったからなのです。
「ひつまぶし」は名古屋地方の鰻の料理あるいは料理法として、普通に使用されている言葉と思っていたのです。
しかし・・・。

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第29類:食用魚介類、他、第30類:弁当、加工食品、他、第43類:飲食店、他
を指定して、「ひつまぶし」に類似する商標(音声上の類似)を検索。

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検索結果10件。

純粋に「ひつまぶし」の登録商標といえるのは、下記の1件のみ。
【登録番号】 第1996631号
【登録日】 昭和62年(1987)11月20日
【商標】 ひつまぶし
【権利者】 合名会社蓬莱軒
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第32類:食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)

鰻料理として通常知られている「食用魚介類」やこれらの加工食料品が含まれているところから、これらの商品については本当に登録されておりました。
これは私も知りませんでした。

ただし、「ひつまぶし」の文字を一部に含む商標が、第30類の弁当や、第43類の飲食物の提供などについて、他の権利者が登録しています。

また、第43類:飲食物の提供については、商標「ひつまぶし」は拒絶され、これを不服として争っている段階です。
【出願番号】 商願2005-121903
【出願日】 平成17年(2005)12月27日
【拒絶査定発送日】 平成18年(2006)10月6日
【商標】ひつまぶし
【出願人】合名会社蓬莱軒
【審判番号】 2006-25186
【審判種別】 査定不服審判
【審判請求日】 平成18年(2006)11月6日
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第43類 飲食物の提供

(検索日:2008年1月14日)

パナソニックに社名変更-松下電器の商標登録問題

「パナソニック」に社名変更という報道がされています。

松下電器産業が、創業以来90年にわたって使ってきた「松下」の名前を社名から外し、海外でも知られている「パナソニック(Panasonic)」に社名変更するというものです。

従来、同社では、音響・映像・コンピュータ等の家電製品について「パナソニック(Panasonic)」、冷蔵庫や洗濯機・家庭電化製品などについて「ナショナル(National)」、その他にも高級音響機器について「テクニクス(Technics)」など、ブランドが使い分けられていました。

これは、商品ジャンルごとにブランドイメージを確立するという意味合いもありますが、実は商標登録に関する長年の懸案となってきた問題もありました。

オンライン百科事典Wikipediaの項目によれば、
「1966年 - 英字表記の『NATIONAL』ロゴを国内向け製品に、『PANASONIC』ロゴを海外向け製品、及び国内向けトランジスタラジオに使用開始。『ナショナル』が米国で商標登録されており使用できなかったことがその動機だが、『パナソニック』に落ち着くまでに、1964年5月に『NATIONAL PANASONIC(ナショナル・パナソニック)』で米国への輸入が認められ、以後、『KADOMAX(カドマックス)』、『マツシタ』、『マーツ』を経て『パナソニック』となっている。 」
と記載され、海外商標権の関係で、別のブランド名を考案し使用せざるをえなかった状況がありました。

商標権は、ブランド名や商品ネーミングなどを独占的に使用できる権利です.
ところで、商標権は、はそれぞれの国ごとに存在する商標法に基づき、各国での手続をして登録をします。
したがって、海外展開を考える場合には、それぞれの国で、他人に商標登録されていないかどうか、されていなければ自分が登録可能かどうかを確認することが重要になります。
国によってブランド名を変えることとすると、製品についている商標を使いまわしできなくなりますし、ブランド名が世界的に通用しにくくなりますから、統一できることにはメリットがあります。

一方、商標登録は、世界のいずれに主要国においても、商品・サービス区分ごとに登録をすることとなっています。
たとえば音響機器・映像機器などは第9類という区分、冷暖房器具などは第11類という区分です。

したがって、「パナソニック」に統一するということは子会社や関連会社の業務内容(住宅関係会社などもあります)までにわたって、しかもそれぞれに国で、商標が使用であることを確認する必要があります。
当然、詳細かつ膨大な調査を要したと思いますし、日本を代表する企業ですから、既に各種の商標登録をしていることと思います。
むしろ、乱立するブランドを整理統合することによって、商標管理としてはすっきるすることとなるでしょう。

観光キャッチフレーズを使用差止?

「『うまし国』は三重のフレーズ」宮城に抗議へとの記事がありました。(イザ!)
宮城県がJRと共に展開するキャンペーンのキャッチフレーズを「美味し国 伊達な旅」と発表したことに対し、「美し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩」を使用する三重県が抗議するという内容です。

まず、誰もが使用するようなキャッチフレーズ、標語については、原則として商標登録が認められないという商標審査基準もありますが、登録例も各種あり、「美し国、まいろう。」はロゴマークにもなっており、登録される可能性は高くあるといえます。

ただし、「美し国」だけでは、広く使われている言葉のため、商標登録できない可能性が高いと考えられます。
「美し国」だけでは、既に観光や地域づくりの標語、あるいはそうした活動の名称としても各所で使用されており、「美し国」という名称のお米などもあります。
したがって、三重県がこの言葉を独占使用できるとは考えにくいものがあります。

該当すると思われる商標登録出願として、下記のものがありました。

出願番号:商願2007-6528
出願日:平成19年(2007)1月29日
出願人:株式会社メディアート
商標:(ロゴマーク)
「美し国、まいろう。
 伊勢・鳥羽・志摩」
指定役務:
第39類:観光地・観光施設に関する旅行情報の提供、他
第35類:割引などの特典付カード・割引クーポン・割引券の発行、広告、他
第41類:娯楽施設の提供、他
第43類:宿泊施設の提供に関する情報の提供、他
(2007年3月20日検索)

商標登録されたとして、そもそも、「美味し国 伊達な旅」と、「美し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩」とが類似でしょうか。
特許庁は、出願商標の読み方(称呼)に、「ウマシクニマイロウ」、「ウマシクニマイロー」、「ウツクシクニマイロー」をあてており、外観も異なるため、類似しないとされる可能性が高いように思います。

さらに、商標法によれば、出願中に警告ができるのは登録出願人、登録後には商標権者または専用使用権者ですが、上記商標には三重県の名前が出てきません。権利の移転もしくは登録後に専用使用権の設定登録が必要です。

また、三重県の標語が全国的に著名な程度になっていた場合には、不正競争防止法に規定する商品等表示、誤認混同のおそれに基づき、使用差止を請求することができます。
しかしこの場合には、宮城県が不正目的での使用であることを立証しなければならず、しかも、「美味し国 伊達な旅」と「美し国、まいろう。伊勢・鳥羽・志摩」が類似することを立証しなければなりません。

商標登録された普通名称や慣用名称は使えるか

海老の天ぷらをおむすびの具にした天むすの商標登録について、ブログの記事を目にしました。
しかし、天むすは、いろいろなところで製造され販売されているのではないか、という疑問がわいたので、商標を調査してみました。

ところで、商品についての一般的な名称は、普通名称といいます。
また、商品について慣用されている呼び方は、慣用商標といいます。
こうした名称は、商標登録されていても、普通に使用する分には認められています。
(普通名称については商標法第26条で。慣用商標は既に慣用されているという事実によって)。

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おぎにりや弁当などが含まれる第30類で、商標の読み方(称呼)を「テンムス」として検索。
すると18件が検索結果に。

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検索結果一覧で、「天むす」の登録が確認できました。
おや? 他にも「天むす」を含む商標がありますね。

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商標登録第2307684号
登録日:平成3年(1991)4月30日
権利者:有限会社天むすすえひろ
第30類:天ぷらを具としてなるおむすび

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商標登録第3199878号
登録日:平成8年(1996)9月30日
権利者:(個人)
第30類:天ぷらを具としてなるおむすび

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商標登録第4351652号
登録日:平成12年(2000)1月14日
権利者:株式会社柿安本店
第30類:天ぷらを具としてなるおにぎり,天ぷらを具としてなるおにぎりを主としたべんとう

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商標登録第4946096号
登録日:平成18年(2006)4月21日
権利者:(個人)
第30類:天ぷらを具としたおにぎり,天ぷらを具としてなるおにぎりを主としたべんとう

(2007年3月15日調査)

なお、そもそも、普通名称が登録できるのか?といえば、普通名称や慣用名称でも、他の言葉と組み合わせたり、デザインしたりすれば、登録可能です。
また、商標登録した時点では独創的な商標であったものが、広く一般的に使われるのを放置していたために、後になって普通名称化してしまうケースもあります。
また、類似商標は登録できないのが原則ですが、少なくとも近年では「天むす」の部分は普通名称になっているため、上記のようにそれぞれが登録されていると考えられます。

地方競馬の危機?-商標を調べてみた

社団法人ジャパンブリーダーズカップ協会(JBC)が、今年秋に大井競馬場で予定されている「第7回JBC競走」への支援中止の通知したとの報道を見たので、競馬には門外漢で、しかも仕事をまだしていましたが、ついでに商標調査をしてみました。

特許庁の電子図書館にアクセス。
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商標の読み方「ジェイビーシー」で、競馬の開催・運営が含まれる第41類を指定。
したがってそれ以外の検索では見ていません。ほかにもあるかもしれません。

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検索結果216件。
読み方の異なる商標や、競馬に関係しない商標も検索結果には出てきます。

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ロゴマークはこれですね。

商標登録第4561070号
登録日:平成14年(2002)4月19日
権利者:社団法人ジャパンブリーダーズカップ協会

第41類:競馬の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,動物の供覧,当せん金付証票の発売,興行場の座席の手配・・・等々、
第42類(旧区分):家畜の診療,飲食物の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,・・・等々、が指定されていました。

なお、調査した限りでは、「JBCクラシック」「JBCスプリント」という登録はありませんでした。
(2007年3月12日調査)

商標権は、同一・類似の商標を、指定されたサービス(役務)と同一・類似の業務について、権利者の許諾なくして使用することができないという権利です。

建築物の写真が商標に?

学校法人早稲田大学が、大隈講堂周辺の写真など数点を商標登録したことについての話題がありました。
http://news.livedoor.com/article/detail/2817213/
このような写真を商標登録することに、どのような意味があるのでしょうか?

商標は、自己の業務について使用する識別標識で、通常はネーミングやロゴマークなどが登録されます。
なお、立体形状の商標も、業務についての識別標識である限り、登録が認められます。ただし立体商標の審査はなかなか厳しく、文字などが入っていない立体商標の登録は認められにくいのですが、大隈重信の銅像は登録されています。

さて、大隈講堂周辺の写真ですが、これを識別標識(商標)として、登録された指定商品等に使用することはできなくなります。類似の商標についても同様です。
ただし、まったく違うアングルからの、印象も異なる写真となると、類似商標にはならない可能性が高くなります。
早稲田大学としては、代表的なアングルの写真を、大学とは関係のない事業者が、あたかも何らかの関係があるように思わせることを防ぐことが主目的だと思われます。

なお、蛇足ですが、「建物は著作権では保護できない」ということはなく、著作権法第10条(著作物の例示)では、
「この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。」として、「5.建築の著作物」をあげています。

ただし、建築物の写真を撮影しても著作権法違反にならないのは、著作権法第46条で、屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、建築の著作物を建築により複製し、又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる、とされているからです。

商号調査と商標調査

 よく、企業やお店を運営されている方から、会社名や店舗名の商標登録をしたいとのご相談を受けます。
 「商標を真似されないように、独占したい」というのですが、商標登録・商標調査についてはまったく初めてという方が多く、そんなときは嫌な予感がします。「商標登録して独占する」よりも前に、「商標権を侵害しているのでは」との懸念を感じるからです。
 そしてその予感はよく当たります。本当によくあることで、どうするのか対処方法には困りますが、正直に状況を伝えざるをえません。

 商業登記される「商号」は、同一住所で同一商号登記されないほかは、商標法、不正競争防止法によって不正や混同を防ぐこととされており、同一の会社名であっても登記されます。登記した商号は「会社名、法人名称としては」使用することができます。登録商標の調査をしなくても会社はできてしまうのです。
 しかし、商号と同一または類似の商標が、第三者によって先に商標登録されていたら、会社名、法人名称を「商標として」使用することができません。商号登記されていてもです。ご存知でしたか?
 しかも登録されている商標権は全国的な権利です。商標権を侵害すると、商標使用の差止請求や、損害賠償請求がされることが認められています。
 つまり、こうなってしまうと、単なる会社名、法人名称の表示としては可能でも、識別標識、営業標識として表示することができなくなってしまうのです。もちろん商標登録をすることもできません。

 会社設立、商号調査の際に商標調査をしておくべきなのでは?
 弁理士は商標登録、司法書士は商業登記と、業務内容が異なるけれど、これほど密接にかかわり、しかも企業経営の根幹をなす重大なことなのに、情報が遮断されているのでは・・・?
 そこで、そうした問題を改善するために、会社設立、法人設立をされる方はもちろん、これを支援される司法書士の先生方に対して特別な商標調査サービスが提供できるようにするために、こうしたご相談にも応じております。お気軽にお問い合わせくださいますようお願い申し上げます。

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