流行語と商標登録~「アラフォー」編
商標登録出願について、個別に立ち入ったことを書く意図はありませんが、たまに何気なく調査をしてみることがあります。たとえば、話題になっている流行語など。
ところで、流行語などは商標登録できるのでしょうか?
商標登録の拒絶理由としては、
指定商品・役務の普通名称(商標法第3条第1項第1号)、指定商品・役務の慣用商標(商標法第3条第1項第2号)は登録されません。
これについてよく誤解されるのは、商標登録をする際に指定する商品や役務(サービス)についての普通名称、慣用名称が登録できないということです。たとえば指定商品「果実」について商標「アップル」は登録できなくても、指定商品「電子計算機」について「アップル」は登録できるということになります。
その他、流行語に関することでは、下記に該当すれば原則として、登録できません。原則として、と書いたのは、商品名、サービス名などとして使用した結果、著名になっていれば登録できる場合があるからです。
商品の産地、販売地、品質等の表示又は役務の提供の場所、質等の表示など、品質表示等の記述的商標(商標法第3条第1項第3号)は登録されないこととされています。
また、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標は、識別力のない商標(商標法第3条第1項第6号)として、登録されないこととされています。
これについても誤解されがちなことは、商標登録をする際に指定する商品や役務(サービス)についての品質などでなければ、登録できる可能性があることです。
また、仮に商標登録されたからといって、普通名称、慣用商標、商品の品質などを示す表示として使う分には誰でも使用できることには変わりありません。
たとえば「世界」は雑誌についての登録商標ですが、もちろん誰でも自由に使える言葉です。
で、今回、仕事でもないのに調べてみた言葉は「アラフォー」です。
昨年末、流行語大賞にも選ばれていましたが、40歳前後といった意味合いで、特に結婚に関連した話題で使用されている俗語です。
【出願番号】 商願2008-38631
【出願日】 平成20年(2008)5月20日
【標準文字商標】 アラフォー
【出願人】 日本電気株式会社
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
9 写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,プロジェクター及びその部品,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物
35 広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,輸出入に関する事務の代理又は代行,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
38 電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与
42 機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供
もう1件ありました。
【出願番号】 商願2009-2217
【出願日】 平成21年(2009)1月16日
【標準文字商標】 アラフォー
【出願人】 江崎グリコ株式会社
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
30 菓子及びパン,糖類又は糖アルコールを主成分とする錠剤状・粒状・顆粒状・粉末状・ゲル状・ゼリー状・ペースト状・シロップ状・液状・タブレット状・カプセル状・球状・スティック状・ビスケット状・ブロック状の加工食品
出願内容についてはノーコメントといたします。
前述したように、たとえばお菓子やパンの普通名称や品質表示などには該当しませんので、登録できる可能性は十分にあると思います。これがたとえば「40歳向けキャラメル」などであれば単なる品質表示+普通名称であり、登録できないという考え方になるのです。
「ひつまぶし」の商標登録?
「ひつまぶし」の商標登録についての話題があったので、商標調査をしてみました。
というのも、「ひつまぶし」がある飲食店の登録商標だというのだが、そんなことはないだろうと思ったからなのです。
「ひつまぶし」は名古屋地方の鰻の料理あるいは料理法として、普通に使用されている言葉と思っていたのです。
しかし・・・。

第29類:食用魚介類、他、第30類:弁当、加工食品、他、第43類:飲食店、他
を指定して、「ひつまぶし」に類似する商標(音声上の類似)を検索。

検索結果10件。
純粋に「ひつまぶし」の登録商標といえるのは、下記の1件のみ。
【登録番号】 第1996631号
【登録日】 昭和62年(1987)11月20日
【商標】 ひつまぶし
【権利者】 合名会社蓬莱軒
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第32類:食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)
鰻料理として通常知られている「食用魚介類」やこれらの加工食料品が含まれているところから、これらの商品については本当に登録されておりました。
これは私も知りませんでした。
ただし、「ひつまぶし」の文字を一部に含む商標が、第30類の弁当や、第43類の飲食物の提供などについて、他の権利者が登録しています。
また、第43類:飲食物の提供については、商標「ひつまぶし」は拒絶され、これを不服として争っている段階です。
【出願番号】 商願2005-121903
【出願日】 平成17年(2005)12月27日
【拒絶査定発送日】 平成18年(2006)10月6日
【商標】ひつまぶし
【出願人】合名会社蓬莱軒
【審判番号】 2006-25186
【審判種別】 査定不服審判
【審判請求日】 平成18年(2006)11月6日
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第43類 飲食物の提供
(検索日:2008年1月14日)
商標登録された普通名称や慣用名称は使えるか
海老の天ぷらをおむすびの具にした天むすの商標登録について、ブログの記事を目にしました。
しかし、天むすは、いろいろなところで製造され販売されているのではないか、という疑問がわいたので、商標を調査してみました。
ところで、商品についての一般的な名称は、普通名称といいます。
また、商品について慣用されている呼び方は、慣用商標といいます。
こうした名称は、商標登録されていても、普通に使用する分には認められています。
(普通名称については商標法第26条で。慣用商標は既に慣用されているという事実によって)。

おぎにりや弁当などが含まれる第30類で、商標の読み方(称呼)を「テンムス」として検索。
すると18件が検索結果に。

検索結果一覧で、「天むす」の登録が確認できました。
おや? 他にも「天むす」を含む商標がありますね。

商標登録第2307684号
登録日:平成3年(1991)4月30日
権利者:有限会社天むすすえひろ
第30類:天ぷらを具としてなるおむすび

商標登録第3199878号
登録日:平成8年(1996)9月30日
権利者:(個人)
第30類:天ぷらを具としてなるおむすび

商標登録第4351652号
登録日:平成12年(2000)1月14日
権利者:株式会社柿安本店
第30類:天ぷらを具としてなるおにぎり,天ぷらを具としてなるおにぎりを主としたべんとう

商標登録第4946096号
登録日:平成18年(2006)4月21日
権利者:(個人)
第30類:天ぷらを具としたおにぎり,天ぷらを具としてなるおにぎりを主としたべんとう
(2007年3月15日調査)
なお、そもそも、普通名称が登録できるのか?といえば、普通名称や慣用名称でも、他の言葉と組み合わせたり、デザインしたりすれば、登録可能です。
また、商標登録した時点では独創的な商標であったものが、広く一般的に使われるのを放置していたために、後になって普通名称化してしまうケースもあります。
また、類似商標は登録できないのが原則ですが、少なくとも近年では「天むす」の部分は普通名称になっているため、上記のようにそれぞれが登録されていると考えられます。
地方競馬の危機?-商標を調べてみた
社団法人ジャパンブリーダーズカップ協会(JBC)が、今年秋に大井競馬場で予定されている「第7回JBC競走」への支援中止の通知したとの報道を見たので、競馬には門外漢で、しかも仕事をまだしていましたが、ついでに商標調査をしてみました。
特許庁の電子図書館にアクセス。

商標の読み方「ジェイビーシー」で、競馬の開催・運営が含まれる第41類を指定。
したがってそれ以外の検索では見ていません。ほかにもあるかもしれません。

検索結果216件。
読み方の異なる商標や、競馬に関係しない商標も検索結果には出てきます。

ロゴマークはこれですね。
商標登録第4561070号
登録日:平成14年(2002)4月19日
権利者:社団法人ジャパンブリーダーズカップ協会
第41類:競馬の企画・運営又は開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,動物の供覧,当せん金付証票の発売,興行場の座席の手配・・・等々、
第42類(旧区分):家畜の診療,飲食物の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,・・・等々、が指定されていました。
なお、調査した限りでは、「JBCクラシック」「JBCスプリント」という登録はありませんでした。
(2007年3月12日調査)
商標権は、同一・類似の商標を、指定されたサービス(役務)と同一・類似の業務について、権利者の許諾なくして使用することができないという権利です。
