商標登録.com > 商標登録事務所通信 > 商標豆知識

特許庁:知っておこう商標のキホン~商標制度の基本~

知っておこう商標のキホン~商標制度の基本~

約20分間の映像コンテンツで知る、商標制度の基本の解説です。
特許庁が配信しています。

コンテンツの内容は、商標とは、商標のはたらき、商標を登録するためには、商標権について、海外で商標を守るには、等です。
初心者向けの概要を解説するものであるため、これだけで必要な知識をえら荒れるというものではありません。

特許庁のウェブサイトの詳細な情報を知るための前提として基礎知識を得たり、弁理士に相談する前に最低限の知識を知っておきたいという方にお勧めです。

食品偽装と商標の問題

最近、食品の原材料や産地などに関する不正な表示が問題になっています。
牛肉偽装事件や、有名菓子の賞味期限の問題など、消費者が商品の品質について誤解・誤認をするような表示であり、こうした事件は、消費者保護の観点から許されない問題であると同時に、企業にとっては悪い評判が立つことになります。こうした事案が起きると、マイナスのブランディング効果がきわめて短期間に発生し、その信頼回復は容易ではありません。

ところで、こうした食品の表示の適正化は、食品衛生法や不当景品類及び不当表示防止法など、他のそれぞれの法律で定められているものですが、商品のパッケージや広告に表示されるものは、同時に商標(=その商品であることの識別標識)として機能することがあります。
たとえば、「○○○ビーフ」という商標が使用されていれば、消費者は牛肉製品であると認識して購入することになります。

商標という制度の目的は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」(商標法第1条)です。
そうしますと、需要者の利益を損なう商標は、商標の使用をする者の業務上の信用を損なうこととなり、このような商標を排除することが望ましいといえます。
そこで、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(商標法第4条第1項第15号)や、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標(商標法第4条第1項第16号)は、特許庁の審査において登録されないこととしています。

しかし、商標を登録する際には、実際にどのような商品にその商標を表示するのかを特許庁では判断することはありません。
「○○○ビーフ」という商標を、本当に牛肉製品について使うのかどうか、実際の商品の確認までは行いません。また、偽装表示などについても特許庁が判断することではありません。
そこで、事後的に、商品の品質や役務の質の誤認を生じた場合、あるい又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生じた場合には、その商標登録を取り消すための審判を誰でも請求することができます。

ただし、商標(=その商品であることの識別標識)として使用しているわけではない表示、たとえば商品ラベルの原材料表示、賞味期限日時などは、食品衛生法や不当景品類及び不当表示防止法など、それぞれの法律により罰則等の対象となります。
また、不当な表示が不正競争に当たる場合には、不正競争防止法に違反することもあります。

商標の称呼と類似

商標が類似するかどうかは、重要な概念です。
商標が登録できるかどうかは、先に登録されている商標と類似しないことが必要ですし、商標権侵害になるかどうかも、登録されている商標と使用している商標とが類似するかどうかが焦点になります。

商標が類似するかどうかの判断は、観念類似(意味合いの類似)、外観類似(見た目の類似)の判断もされますが、もっとも重要といえるのが称呼類似(読み方の類似です)。

ブラウザソフト「Firefox」の商標登録に関するblogがありました。

さて、商標が類似するかどうかの判断基準では、登録の際に判断する特許庁と、侵害事件の際に判断する裁判所とでは、やや異なる点もありますが、特許庁の商標審査基準が参考になります。
当サイトでも商標の類似について解説しています。
たとえば、「cherryblossomboy」と「チェリーブラッサム」、「黒潮観光ホテル」と「黒潮」とは類似しますし、さらに「スチッパー」 と「SKiPPER」など1文字違い程度では類似とされることが多々あります。

ただし、類似判断では、相違する音が母音が子音か、子音でも近い音かどうか、1文字あるいは2文字違う場所が商標の語頭か、中間か、語尾かなどによっても異なります。
さらに、1文字違いといっても、3文字中の1文字か、10文字中の1文字かでは異なります。
したがって、個別・具体的に見て判断していくしかないわけです。

ところで、「Firefox」と「FIREFOX」とは、明らかに類似です。
「ファイアーフォックス」と「ファイヤーフォックス」とも、まず明らかに類似です。英語を日本語表記する際の文字の選び方の相違にすぎません。
「ファイヤーフォックス」と「firefox」と「ふぁいあふぉっくす」と「Fire-FOX」とも、それぞれ類似であることはまず確実でしょう。
類似の範囲は、一概にはいえないものの、一般の間隔からいえば案外広く感じられることが多いと思います。「FOX」を「PHOCCS」としても類似と判断されることがあると思います。
称呼としては類似すると考えられるためです。
※なお、特許庁のデータベースで記載されている称呼は、検索の便宜のために振られているキーワードのようなものです。

次に、商標を3年以上使用していない場合に、不使用を理由として取消請求がされる可能性があります。
この場合に、使用していること(あるいは使用の準備をしていること等)の証明をする必要がありますが、実際に使用している商標と、登録されている商標とが、同一であるか、あるいは社会通念上同一であることが、取り消されないための要件となります。

この点について、商標法50条では、
「『登録商標』(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」
としており、「Firefox」、「FIREFOX」、「ファイアーフォックス」、「ファイヤーフォックス」、「ふぁいあーふぉっくす」などは社会通念上同一と認められると考えられます。

よく使われる単語を商標に?

「Office Live」の名称は商標権の侵害--米Office Live社がMSを提訴(CNET Japan)との記事がありました。<文:Dawn Kawamoto(CNET News.com) 翻訳校正:編集部>

ソフトウェアツールの名称「Office Live」の使用に対し、Microsoft者を相手取った商標権侵害訴訟が、ロサンゼルスに本拠を置くOffice Live社によって起こされたというもので、同社は「Office Live」の商標を2002年に登録しているとの内容です。

本件自体についてはここでは述べません。
ただ、公平かつ中立的な立場でありつつも、筆者から一言感想を述べますと、「Live」という言葉は、ソフトウェア製品やサービスについての一般名称ではなく、必ずしも品質表示とまではいえないものの、広く使用される単語をそのまま、製品やサービスの商標として採用することは、必ずしも好ましいとはいえません。

このことは、商標登録専門の弁理士として日々仕事をする中で、常々感じていることです。
(1)普通名称などはロゴマークなどとして商標登録されたとしても、第三者が普通に表示することは可能であり、使用を独占することはできない、
※念のため、「Office Live」や「Live Search」は普通名称ではありません。
(2)他の商品やサービスでもたくさん使われる言葉のため、ブランドの知名度を上げるには通常以上の広告宣伝を必要とする、つまり最初から競合が多い、
(3)類似商標も多くあると想定されるため、商標登録をすることが難しく、特にインターネット企業のような世界的企業では各国ごとにその問題が生じうる、
といったことがあげられます。

また、ソフトウェアやサービスの利用者としても、一般的言葉はありふれていて印象が弱いという風に感じます。
「google」や「Yahoo!」、「Amazon」といった造語、あるいは「楽天」、「アスクル」などの造語を思い浮かべてみれば、はるかに印象は強く、覚えやすく、競合は少なく、商標登録されやすく、訴えられにくいかがわかると思います。

当事務所(当サイト運営者)の仕事でも、一般的言葉の組み合わせのような商標を登録したいというお問い合わせが数多くあり、何とか権利を押さえたいという要望を受けることがあります。
しかし、それは商標登録がしにくいか、最初から困難であったり、あるいはロゴマークにするなどして権利を取得しても、権利が制限されるものであったりします。

一般的名称をネーミングとして採用することは、再考の余地が大きいと考えるものです。


名菓ひよ子の立体商標

立体商標制度は、3次元の立体的な形状の商標について、商標登録を認める制度です。
不二家のペコちゃん、ポコちゃんや、早稲田大学の大隈重信の銅像、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダースの人形などが登録になりました。

ところが、商標は特許権などの期間が限定されているものと異なり、10年ごとに更新をすれば半永久的に独占権を得ることができます。
そこで、商品の普通の形状や、その商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標などは、原則として登録できません。
使用した結果著名になったものについては例外が認められますが、実際には困難です。

そこで争われたのが、名菓ひよ子の立体的形状の登録が有効かどうかという訴訟です。
知財高裁の判決で、「鳥形菓子の形状はありふれたもの」として登録が無効とされました。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/29643/

日本弁理士会:http://www.jpaa.or.jp/appeal/opinion_20050817.html

ご利用規約 | 個人情報・秘密情報の取り扱い | 著作権・リンクについて