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食品偽装と商標の問題

最近、食品の原材料や産地などに関する不正な表示が問題になっています。
牛肉偽装事件や、有名菓子の賞味期限の問題など、消費者が商品の品質について誤解・誤認をするような表示であり、こうした事件は、消費者保護の観点から許されない問題であると同時に、企業にとっては悪い評判が立つことになります。こうした事案が起きると、マイナスのブランディング効果がきわめて短期間に発生し、その信頼回復は容易ではありません。

ところで、こうした食品の表示の適正化は、食品衛生法や不当景品類及び不当表示防止法など、他のそれぞれの法律で定められているものですが、商品のパッケージや広告に表示されるものは、同時に商標(=その商品であることの識別標識)として機能することがあります。
たとえば、「○○○ビーフ」という商標が使用されていれば、消費者は牛肉製品であると認識して購入することになります。

商標という制度の目的は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護すること」(商標法第1条)です。
そうしますと、需要者の利益を損なう商標は、商標の使用をする者の業務上の信用を損なうこととなり、このような商標を排除することが望ましいといえます。
そこで、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(商標法第4条第1項第15号)や、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標(商標法第4条第1項第16号)は、特許庁の審査において登録されないこととしています。

しかし、商標を登録する際には、実際にどのような商品にその商標を表示するのかを特許庁では判断することはありません。
「○○○ビーフ」という商標を、本当に牛肉製品について使うのかどうか、実際の商品の確認までは行いません。また、偽装表示などについても特許庁が判断することではありません。
そこで、事後的に、商品の品質や役務の質の誤認を生じた場合、あるい又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生じた場合には、その商標登録を取り消すための審判を誰でも請求することができます。

ただし、商標(=その商品であることの識別標識)として使用しているわけではない表示、たとえば商品ラベルの原材料表示、賞味期限日時などは、食品衛生法や不当景品類及び不当表示防止法など、それぞれの法律により罰則等の対象となります。
また、不当な表示が不正競争に当たる場合には、不正競争防止法に違反することもあります。

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商標の称呼と類似

商標が類似するかどうかは、重要な概念です。
商標が登録できるかどうかは、先に登録されている商標と類似しないことが必要ですし、商標権侵害になるかどうかも、登録されている商標と使用している商標とが類似するかどうかが焦点になります。

商標が類似するかどうかの判断は、観念類似(意味合いの類似)、外観類似(見た目の類似)の判断もされますが、もっとも重要といえるのが称呼類似(読み方の類似です)。

ブラウザソフト「Firefox」の商標登録に関するblogがありました。

さて、商標が類似するかどうかの判断基準では、登録の際に判断する特許庁と、侵害事件の際に判断する裁判所とでは、やや異なる点もありますが、特許庁の商標審査基準が参考になります。
当サイトでも商標の類似について解説しています。
たとえば、「cherryblossomboy」と「チェリーブラッサム」、「黒潮観光ホテル」と「黒潮」とは類似しますし、さらに「スチッパー」 と「SKiPPER」など1文字違い程度では類似とされることが多々あります。

ただし、類似判断では、相違する音が母音が子音か、子音でも近い音かどうか、1文字あるいは2文字違う場所が商標の語頭か、中間か、語尾かなどによっても異なります。
さらに、1文字違いといっても、3文字中の1文字か、10文字中の1文字かでは異なります。
したがって、個別・具体的に見て判断していくしかないわけです。

ところで、「Firefox」と「FIREFOX」とは、明らかに類似です。
「ファイアーフォックス」と「ファイヤーフォックス」とも、まず明らかに類似です。英語を日本語表記する際の文字の選び方の相違にすぎません。
「ファイヤーフォックス」と「firefox」と「ふぁいあふぉっくす」と「Fire-FOX」とも、それぞれ類似であることはまず確実でしょう。
類似の範囲は、一概にはいえないものの、一般の間隔からいえば案外広く感じられることが多いと思います。「FOX」を「PHOCCS」としても類似と判断されることがあると思います。
称呼としては類似すると考えられるためです。
※なお、特許庁のデータベースで記載されている称呼は、検索の便宜のために振られているキーワードのようなものです。

次に、商標を3年以上使用していない場合に、不使用を理由として取消請求がされる可能性があります。
この場合に、使用していること(あるいは使用の準備をしていること等)の証明をする必要がありますが、実際に使用している商標と、登録されている商標とが、同一であるか、あるいは社会通念上同一であることが、取り消されないための要件となります。

この点について、商標法50条では、
「『登録商標』(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」
としており、「Firefox」、「FIREFOX」、「ファイアーフォックス」、「ファイヤーフォックス」、「ふぁいあーふぉっくす」などは社会通念上同一と認められると考えられます。

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