「商標登録出願」と、「商標登録申請」と、どちらが正しいかといえば、正しくは商標登録出願です。
同じ意味合いとして一般には通じると思いますが、法律用語としては「商標登録申請」というものはありません。特許についても、「特許申請」ではなく「特許出願」です。
「出願」と「申請」とは、法律的に意味が異なります。
「出願」は、審査をして要件を満たす場合にだけ、認められる手続きをいいます。
「申請」は、所定の書式・手数料などの形式等が整っている限り、認められる手続きをいいます。
商標は、審査によって登録されるかされないかが決まるもので、「出願」でなければなりません。
これに対し、商標権は10年ごとに更新することができますが、書式を整え、手数料を納付すれば更新されるので、「更新登録申請」とされています。
ちなみに、「代行」と「代理」も、法律的にはまったく異なるものです。
「代行」は、あくまでも本人が行う手続きについて、書類の提出等の事実行為を、本人に代わって行うものです。手続きはあくまでも本人と相手方(特許庁)との間で進みます。
「代理」は、本人と同じ権限をもつ代理人が行うもので、たとえば特許庁に対し代理人が行った手続きや、特許庁からの通知を代理人が受領したということは、本人が行ったと同じ法律的意味・法律的効果を有するものです。
試しにgoogleで検索をしてみました。
"商標登録出願" の検索結果 約 81,300 件
"商標登録申請" の検索結果 約 22,700 件
正しい用語で使用されているほうが明らかに多いのですが、「商標登録申請」あるいは「商標申請」等として使用している同業者のウェブサイトが数多くあるのはどうしたものでしょうか。
2008年01月14日
「ひつまぶし」の商標登録についての話題があったので、商標調査をしてみました。
というのも、「ひつまぶし」がある飲食店の登録商標だというのだが、そんなことはないだろうと思ったからなのです。
「ひつまぶし」は名古屋地方の鰻の料理あるいは料理法として、普通に使用されている言葉と思っていたのです。
しかし・・・。

第29類:食用魚介類、他、第30類:弁当、加工食品、他、第43類:飲食店、他
を指定して、「ひつまぶし」に類似する商標(音声上の類似)を検索。

検索結果10件。
純粋に「ひつまぶし」の登録商標といえるのは、下記の1件のみ。
【登録番号】 第1996631号
【登録日】 昭和62年(1987)11月20日
【商標】 ひつまぶし
【権利者】 合名会社蓬莱軒
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第32類:食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)
鰻料理として通常知られている「食用魚介類」やこれらの加工食料品が含まれているところから、これらの商品については本当に登録されておりました。
これは私も知りませんでした。
ただし、「ひつまぶし」の文字を一部に含む商標が、第30類の弁当や、第43類の飲食物の提供などについて、他の権利者が登録しています。
また、第43類:飲食物の提供については、商標「ひつまぶし」は拒絶され、これを不服として争っている段階です。
【出願番号】 商願2005-121903
【出願日】 平成17年(2005)12月27日
【拒絶査定発送日】 平成18年(2006)10月6日
【商標】ひつまぶし
【出願人】合名会社蓬莱軒
【審判番号】 2006-25186
【審判種別】 査定不服審判
【審判請求日】 平成18年(2006)11月6日
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
第43類 飲食物の提供
(検索日:2008年1月14日)
2008年01月12日
お笑い芸人・小島よしおさんのギャグで、今年の流行語大賞にもノミネートされた「でもそんなの関係ねぇ~」が、所属事務所によって商標登録出願されていたことについて、スポーツ報知の電話取材を受けました。
スポーツ報知(2007年11月27日)
小島よしお丸ごと商品化…所属事務所が商標出願
こうしたマスコミ取材を受ける際、時間がないときには電話取材もありますが、記者と会って話をした方が誤解が生じにくく、細かいニュアンスまで伝わります。
取材者も法律に詳しいわけではなく、誤解や不正確な部分が生じやすいため、原則としてできあがった原稿を事前にチェックさせてもらうようにしています。
しかし今回は、午後に取材され翌朝の紙面に掲載されるとのことで、時間の関係上チェックができませんでした。
今回の出願は、グッズ商品化や、偽物商品の防止を目的としたもので、出願された商標は下記の通りです。

出願番号:商願2007-102725
出願日:平成19年(2007)10月2日
指定商品:
第14類:貴金属,キーホルダー,身飾品,時計,その他(省略)
第24類:布製身の回り品,布団,毛布,その他(省略)
第25類:ティーシャツ,洋服,セーター類,帽子,靴類,その他(省略)
記事の内容につきましては、下記に若干のコメントをさせていただきたく思います。
【記事】
「弁理士の金原正道さん(金原商標登録事務所代表)によると『関係ねぇ~』が商標登録されるかどうかについて『今後調査されたうえでのことなので何ともいえない』とした上で、似たような登録などが考えにくいことから『通る可能性は高いかもしれません』とした。」
【コメント】
私は商標調査はしていないので、似たような登録がなければ通る可能性は高いかもしれないが、今後特許庁での審査がされた上で登録されるかどうか決まります。
【記事】
「過去には、パイレーツの『だっちゅーの』(1998年)、レイザーラモンHGさんの『フォーー!』(2005年)などのギャグが『新語・流行語大賞』の大賞やトップテンに選ばれているが、商標登録が出願された形跡はほとんどない。金原さんは『出願自体が珍しいと言えそうだ』としている。」
【コメント】
私は商標調査をしたわけではないので、流行語が出願されたかどうかはわかりません。
ただ、商標は商品名・サービス名・ブランド名として使用されるものだから、流行語というだけで商標登録出願をいちいちすることは少ないかもしれません。
【記事】
「『関係ねぇ~』の登録が認められた場合、小島さん以外の人はギャグとして使用できなくなるのだろうか。『今回出願された区分(分野)を侵すものではない』(金原さん)ためまったく大丈夫だという。」
【コメント】
今回の出願は、第14類のアクセサリーや第24類の布製品、第25類の服などについての商標で、登録されればこれらの商品について、出願された商標は独占的に使用することができます。
第41類の演芸関係の出願ではないし、仮に演芸の区分で登録されても演芸サービスの名称として独占できるだけで、ギャグとしての使用の独占を認めるものではありません。
したがって、商標権で使用を独占することはできません。
ただし、ギャグのシナリオには著作権があるから、そっくり真似をすると問題になる可能性がありますし、振付に著作権が生じることもありえます。
真似のしかたによっては「まったく大丈夫」とは保証できないものの、商標権の問題ではありません。
このように細かい内容までを電話取材で伝えることは難しく、やはり原則として記事が出るまでにチェックさせてもらう等、取材の受け方については反省点があります。
2008年01月10日
「パナソニック」に社名変更という報道がされています。
松下電器産業が、創業以来90年にわたって使ってきた「松下」の名前を社名から外し、海外でも知られている「パナソニック(Panasonic)」に社名変更するというものです。
従来、同社では、音響・映像・コンピュータ等の家電製品について「パナソニック(Panasonic)」、冷蔵庫や洗濯機・家庭電化製品などについて「ナショナル(National)」、その他にも高級音響機器について「テクニクス(Technics)」など、ブランドが使い分けられていました。
これは、商品ジャンルごとにブランドイメージを確立するという意味合いもありますが、実は商標登録に関する長年の懸案となってきた問題もありました。
オンライン百科事典Wikipediaの項目によれば、
「1966年 - 英字表記の『NATIONAL』ロゴを国内向け製品に、『PANASONIC』ロゴを海外向け製品、及び国内向けトランジスタラジオに使用開始。『ナショナル』が米国で商標登録されており使用できなかったことがその動機だが、『パナソニック』に落ち着くまでに、1964年5月に『NATIONAL PANASONIC(ナショナル・パナソニック)』で米国への輸入が認められ、以後、『KADOMAX(カドマックス)』、『マツシタ』、『マーツ』を経て『パナソニック』となっている。 」
と記載され、海外商標権の関係で、別のブランド名を考案し使用せざるをえなかった状況がありました。
商標権は、ブランド名や商品ネーミングなどを独占的に使用できる権利です.
ところで、商標権は、はそれぞれの国ごとに存在する商標法に基づき、各国での手続をして登録をします。
したがって、海外展開を考える場合には、それぞれの国で、他人に商標登録されていないかどうか、されていなければ自分が登録可能かどうかを確認することが重要になります。
国によってブランド名を変えることとすると、製品についている商標を使いまわしできなくなりますし、ブランド名が世界的に通用しにくくなりますから、統一できることにはメリットがあります。
一方、商標登録は、世界のいずれに主要国においても、商品・サービス区分ごとに登録をすることとなっています。
たとえば音響機器・映像機器などは第9類という区分、冷暖房器具などは第11類という区分です。
したがって、「パナソニック」に統一するということは子会社や関連会社の業務内容(住宅関係会社などもあります)までにわたって、しかもそれぞれに国で、商標が使用であることを確認する必要があります。
当然、詳細かつ膨大な調査を要したと思いますし、日本を代表する企業ですから、既に各種の商標登録をしていることと思います。
むしろ、乱立するブランドを整理統合することによって、商標管理としてはすっきるすることとなるでしょう。
2008年01月06日
特許庁がかねてより審議していた商標登録などの費用軽減について、報道がされております。
特許料12%下げ、商標は43%軽減・特許庁決定、中小を支援
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080106AT3S0500N05012008.html(NIKKEI NET)
商標登録について特許庁に納付する実費(特許印紙代)が、安くなるというものです。
出願時、登録時、更新登録時の特許印紙代を4割程度安くするということで、法律改正が必要となりますが、2008年6月からの実施を予定しているということです。
詳細につきましては、追ってお知らせ申し上げます。